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<<   作成日時 : 2006/09/01 22:09   >>

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食品分析における固相抽出の効果的な利用方法(1)

1 はじめに

近年の加工食品、作物の輸入増加に伴い、これら作物残留農薬分析を中心とした食品分析における迅速化に対する需要が増加している。また、環境ホルモン問題を始め、食の安全性に対する認識も向上しており、生産現場では、更なる品質管理、安全性試験が臨まれている。このような背景から、厚生省衛生局長通知「衛化第43号 平成9年4月8日」では、作物残留農薬の迅速分析法としてGPCクリーンアップとフロリジル、シリカゲルクリーンアップを中心とした、一斉分析法を提示している(図1)。一方、GPCクリーンアップに基づく手法では、一件体当たりの前処理時間に30-40分程度消費してしまうことから、さらに高効率化を求め、最近では、固相抽出剤[1]を利用したバッチ式による多検体同時処理による簡易クリーンアップが検討[2]され、各機関において採用され始めている。これら一連の簡易分析法で用いられている固相抽出法に主眼を置き、基本的な原理から、固相充填剤の種類、効果的な使用方法について解説する。

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2 固相分離剤について

固相抽出法にはさまざまな分離剤が用いられる。効果的な前処理方法を行うためには、分離剤の種類と特性を理解し、適切な使用方法を選択しなければならない。ここでは固相抽出の基礎、および利用される分離剤の種類と使用方法を述べる。

2.1 固相抽出の原理

化学結合シリカ、またはポリマーゲルなどの固定相(通常これを固相と呼んでいる)を用いて、試料中の目的成分の分離精製を行う簡易抽出法である。固相抽出法は、歴史的には、1970年代に普及してきた高速液体クロマトグラフィーの技術革新にともない、その原理の理論展開の課程で考案された分析手法である。

80年代以降、各メーカーから、市販品が販売されるようになり、有用性も文献を通じて、多数報告されるようになり、実用性が認知されるようになった。医学分野にとどまらず、薬学、食品、化学工業や最近の環境ホルモン分析に至るまで、かなり広範囲にわたって汎用されるようになった。今日では、前処理のスタンダードとしての位置を確立するに至っている。液々抽出法に比べて、使用する有機溶媒量を節約できることや、自動化しやすいなどのメリットを持ち、生産性を向上させやすい利点を持つ手法である。

また、疎水性化合物から水溶性化合物まで広範囲に適用が可能である。そのため、様々な種類のカラムと手法が紹介されている。どの手法を選択したらいいのか、各メーカーから発行されているカタログや、技術資料、文献タイトルインデックスなどが、初めて使用するオペレーターでも容易に使いこなせるように、参照メソッドが数多く提供されている。メーカーによっては、データベースがCD-ROM化されている。

近年では、インターネットのPubMed[3]など多数のゲートウェイがあるウェブサイトで、過去の参考文献を無料で検索できる環境も整っている。

現在市販されている固相抽出の形態としては、カートリッジ型、ルアーデバイス型、ディスク型の3種類に大別される。測定したい試料マトリックスに応じて、これらのメディアを効果的に組み合わせることが重要である。各種製品には、目的化合物を吸着させるために、各種充填剤が使用されている。市販されている充填剤を図2にまとめた。

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これら充填剤は、大きく3つのグループに大別される。すなわち、逆相モードで使用される無極性固相、順相モードで使用される極性固相、イオン交換モードで使用されるイオン交換固相である。また、これらを複数組み合わせた充填剤や、専用に開発された物は特殊型といえる。

固相抽出の基本操作は(図3)の4ステップの要領で行う。出荷時の固相抽出剤は、乾燥した状態で梱包されており、第一ステップとして「コンディショニング」作業が必要である。これは、固相充填剤の母体が疎水性のシリカをベースとしているものがほとんどであるためである。そのため、コンディショニング操作として、メタノールなどの極性の有機溶媒をあらかじめ固定相に流し、固相分離剤を活性化させておき試料を流しやすい状態にする必要がある。


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続いて、メタノールの後に精製水や各分離剤にあわせた緩衝液などを流し、実試料が固相となじみ易くする。次に第二ステップとして、試料溶液を流して目的成分を「保持」させる。このとき、一部の夾雑物もいっしょに保持されるので注意する。第三ステップでは、洗浄溶液を用いて「洗浄」を行う。この操作で、およその夾雑物を洗い流す。最終ステップは「溶出」で、精製された目的成分を最終的に回収する。基本的には、この4ステップで前処理を行うが、先に述べた3種の固相充填剤でのメカニズムを把握した上で行うと良い。以下に、主な固相抽出剤における分離モードを解説する。




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