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zoom RSS 無機分析のための酸分解前処理基礎その2(食品系試料)

<<   作成日時 : 2005/05/21 14:02   >>

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食品試料の酸分解方法について現在検討している簡易法について整理しておきます。
前回までの記事で

http://sampleprep.at.webry.info/200504/article_13.html
http://sampleprep.at.webry.info/200503/article_12.html

において、酸分解に使用する酸の特徴と、簡易分解容器を利用した湿式分解のさわりをUpしておりますが、この続きに当たります。


想定する対象試料

・米、穀物類
・粉末ミルク、粉末コーヒー、粉末ココアなどのインスタント飲料
・スープのもと
・でんぷん質(片栗粉とか)
・香料成分(おもにアルコールなど)
・シロップ(シュガーシロップ、メイプルシロップなど)
・ペットフード(実験用動物飼料を含む)
・マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料
・ビタミン補給サプリメント錠剤、カプセル


A.簡易分解 硝酸+過酸化水素ベース

準備
50mL程度のノンメタルチューブに、粉末試料はそのまま、固形試料はミルでパウダーにして、液状試料はそのまま0.5-1g程度量り取る。重金属分析用(または高純度)濃硝酸10-15mL加えて時計皿をして、室温で静置する。発砲する試料は、発砲が収まるまでまつ。

予備灰化1
室温から50度前後で様子をみる。反応が強いものは、10分程度様子を見る。

予備灰化2
70度前後で様子を見る。反応性が高いものは、茶褐色蒸気がでる。10分程度ホールド。

灰化
硝酸の最適分解温度100-110度で還流分解を行う。サンプルに含まれている有機物含量によってトータルの分解時間は前後する。加熱直後は、行きよいよく茶褐色蒸気が発生する。20-30分程度ホールドして様子をみる。茶色蒸気の発生が落ち着いて、膠着状態に入ったら、一度加熱ブロック、ホットプレートから、おろし、余熱状態にする。
少し冷却されたら、30%過酸化水素1mL程度をスポイトやパスツールピペットを用いて、少しずつ添加する。余熱で反応して、膠着状態から、反応性のある状態に移行する。茶褐色の分解溶液が徐々に黄色透明になる。再び加熱ブロック、ホットプレートに戻し15-30分程度加熱。膠着状態に入っていたら、分解溶液の色を確認して、完全なレモン色−透明色になっていたら、終点。再び茶褐色であれば、先の過酸化水素添加処理を再び行う。この行程を終点に行くまで繰り返す。
分解終了後、加熱を辞めて、室温まで冷却して、メスアップする。



B.ケルダール分解 硫酸+過酸化水素+硝酸ベース
試料は、できるだけ細かい状態にして用いる。ミルなどで、粉末状になっているほど望ましい。計量は、ケルダール分解フラスコ、ケルダール分解チューブ1つについて、0.5g〜5g程度まで、検討可能。水分が多い試料は反応効率を高めるため、30-40度でそのまま暖めて、乾燥させておくとよい。

濃硫酸を10-15mLをフラスコ壁より、室温にてゆっくり注入。発泡性試料は、そのまま放置して、発砲がやむまで様子を見る。そうでない試料は、170-200度で加熱する。加熱分解時間はやく1時間程度様子をみる。黒い発泡性反応物が吹き上がりそうなものは、加熱を一次保留して、余熱反応させる。基本的に還流ユニットを分解容器上部に取り付けておくと良い。還流ユニットには、水流式や空冷式のものを用いる。
一時間程度の還流分解が終了したら、350-400度程度に温度を上げて、硫酸分解を完結させながら、過剰硫酸を留去する。硫酸蒸気を吸引できるようなスクラバーユニットがあると便利。無い場合は、開放系で蒸発させる。
硫酸の分量が、初期の添加分量の半分以下(約1−2時間:システムによる)になったところで、一度加熱を止めて空冷する。

60度以下まで、温度が下がるのを待って、30%過酸化水素を10-15mLを添加する。室温で反応させる。反応性が高いので、必ず温度が下がったのを確認してから、2,3mLずつに分けて、壁面から、きわめてゆっくり添加する。最初の2,3mLの添加では、発砲しながら、室温で反応し、真っ黒だった硫酸処理炭化液が、茶褐色に変わる。発砲が収まってから、段階的に2,3mLずつ滴下していくと、茶褐色から、黄色に変化する。
170度前後で加熱する。10−20分でレモン色−透明色になり、分解終了。
検出器によっては、この分解液を冷却して、分析対象にする。

ICPなど、硫酸マトリックスが使えない検出器向けには、170度処理の後、240度前後で、硫酸留去を行う。乾固しないように気を付ける。分解液が5mL程度まで濃縮できたら、一度加熱を止める。

空冷して、60度以下まで下がるのを待って、濃硝酸を10mL前後添加する。穏やかに攪拌した後、120度前後で、30-60分加熱処理しながら硝酸層に置換する。


A,Bどちらの処理でも分解処理を行うことが可能ですが、油や脂肪分が増えてくると硝酸ベースの簡易法では処理できないものが出てきます。その場合は、Bの硫酸ベース手法をメイン検討します。また、簡易法では、1g程度が分解できる分量の限界になってきますので、スケールアップを行いたい場合は、ケルダール分解(容器容量250-300mL)が向いています。



次回は、プラスチックを検討したときのことをまとめる予定です。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
お初です。無機分析を行ってますが、前処理はほとんどやらないものです。ケルダール処理を参考に分解してみました。しかし、H2O2添加でほぼ透明になったのですが、不溶性の物質もでき、その後、酸ではとけませんでした。硫酸分解が不十分のせいでしょうか、教えていただけませんか?よろしくお願いいたします。
CRCR
2007/03/27 21:43
CRCRさま
コメントありがとうございます。
硫酸分解後の沈殿する物は、再沈殿物で分解が不十分であるためではありません。測定対象元素が、沈殿物に含まれていなければ、ろ過して、溶液を測定に用います。含まれているかどうかの確認は、融解法を用います。融解法については、別の項目にまとめていますので、以下のリンクを参照ください。
http://sampleprep.at.webry.info/200603/article_2.html
あき
2007/03/28 00:01
あき様 早速の回答ありがとうございます。 硫酸炭化はうまくいったが、なにかその他の不用物が沈殿したと考えてよいのですね。沈殿がなにか、IRなどで確認してみます。 会社からコメントしようとしましたが、ブロックされてしまいました。仕事関係なのに残念。。。
CRCR
2007/03/28 23:10
あれから、IRで浮遊物は、シリコン系のものと分かり、分解不十分と考え、加熱温度を240に上げ時間も延ばし、どうにか透明に分解できたようです。粘度がありますが。。。
食品ではないし、PFA容器なので無理がありましたが、大変参考になり、ありがとうございました。
CRCR
2007/04/05 22:40
CRCRさま
コメントありがとうございます。
無事、前処理が進行しているようで
ホットしました。
これからもよろしくお願い致します。

最近は、新ネタをセーブ中です。
ある程度アップし尽くしているので、学会でオープンにしたり、論文執筆が終了したものより、整理して連続アップする予定です。それまで、バックナンバーをチェックしながら、気長にお待ちくださいませ。
あき
2007/04/05 22:46

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