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zoom RSS キレート樹脂固相抽出の上手な使い方

<<   作成日時 : 2005/03/11 21:19   >>

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今回は、無機分析用の前処理カートリッジである「キレートディスクカートリッジ」を利用した、一般的な水溶液系試料中の無機元素イオンの抽出方法について解説します。

(使用固相)
・キレートディスクカートリッジ10mm/6mL
・エムポアディスク (試薬洗浄用)

(小物類)
(1) ポリ手袋
(2) 保存用容器
(3) 試験管(15mL、50mL)→50mL定容用試験管専用試験管「DigiTUBE」
(4) スポイト
(5) pHメーター
(6) ポリ袋

(固相操作関連機材)
(7) 吸引マニホールド(GL-SPE吸引マニホールド)
(8) ルアーストップコック
(9) バキュームコントローラー
(10) バキュームキット
(11) ボンドエルート用アダプター(1,3,6mL用)&大容量リザーバー

(試薬・溶媒類)
・超純水
・試薬(硝酸、アンモニア水、酢酸アンモニウム)
・標準溶液

【使用器具】
(1) ポリ手袋
 前処理時におけるコンタミネーションの防止の為に、前処理時にはポリ手袋を使用します。手袋をする事で測定系へ直接手で触れるとによる汚染影響を防止します。また、有害な酸溶液や標準金属試薬を皮膚に接触させない役目もあります。

(2) 保存用容器
 コンタミネーションを防止するため、サンプル、試薬、溶媒など全てポリ容器をご使用下さい。 ガラス器具の使用は極力避けます。

(3) 試験管

廃液受け用受器

 ディスポーザブルなポリマー製試験管を使用します。溶出液(抽出液)採取用15mL試験管を用意します。

定容用試験管

 ディスポーザブル試験管は、目盛りがついていますが正確な物ではありません。その為、定容に用いる試験管は、定容する溶媒量を正確に入れて正しい目盛りがふられている試験管を選別して定容用試験管(定容受器)として使う事が必要です。「DigiTUBE」など、メタルフリ-PP製試験管で、クラスAのメニスカス50mLが引いてあるものが市販されています。これを用いて、固相処理後のメスアップに対応できます。

※ メーカーによって径やブランク影響(金属不純物溶出)が異なります。あらかじめ確認して使用します。

※ 定容容器は、汚染がひどく再利用できない場合を除き、洗浄して再利用できますが、クロスコンタミネーションをさけたい場合は、使い捨てを推奨します。

(4) スポイト
 市販の樹脂製スポイトを使用します。pH調製やカートリッジへの輸液など前処理時に用います。

(5)  pHメーター
 キレート処理においてはpHの調製が重要になります。正確なpHが測定できるものを用います。

(6) ポリ袋
 洗浄後のマニホールド等の器具は、室内空間からのコンタミィネーションを防ぐためポリ袋に入れて保管します。

(7) 吸引マニホールドキット
 カートリッジ型固相を処理する時に用ます。

(8) ルアーストップコック
 固相からの溶出液をダイレクトにコントロールするコックです。バキュームコントローラーとの併用で流量を調整します。テフロン製のものが無機分析に向いています。

(9) バキュームコントローラー
 マニホールドを用いて前処理時の圧力コントロール操作をする場合に用います。

(10) バキュームキット
 廃液瓶と吸引ポンプから構成されています。廃液瓶は使用溶媒や通液後の試料の回収などに用います。ポンプに直接液体が入ると故障の原因となりますので、通水液体量に合わせた廃液瓶を利用します。

酢酸アンモニウムの精製
ポリ容器に2Mの酢酸アンモニウムの溶液を調製します。金属不純物を取り除くために酢酸アンモニウム溶液中に、洗浄済みキレートディスクを1Lあたりに2、3枚入れます。ディスクを入れた状態で2昼夜以上置いて酢酸アンモニウム溶液を精製します。(精製に用いたキレートディスクは、再度浸漬洗浄を行えば、再利用できます。)


【操 作】
 キレートディスクカートリッジを使うにあたって、基本的なフローを示します。
 サンプルに応じてアレンジします。


1) 試料調製

・事前濾過
・酢酸アンモニウム添加
・pH調製

サンプル事前濾過
試料が濁っている場合には、事前に試料を濾過処理します。浮遊粒子などへ金属が付着している事が考えられます。100mLあたり2N硝酸1〜2mLを添加します。試料水をよく混合させてから、0.45μmフィルターで濾過を行い、粒子を除去します。

酢酸アンモニウム添加
試料水に緩衝作用を持たせるために、100mMになるように酢酸アンモニウムを添加します。2M酢酸アンモニウム水溶液を50mL/1L添加する事で、ほぼ100mMになります。高純度の酢酸アンモニウム試薬を直接溶かしてもOKです。

pH調製
試料水をpH5.5に調製します。試料水のpHの調製は、pHを上げる場合は20%アンモニア水溶液、pHを下げる場合は2N硝酸水溶液を使用します。


 2) キレートディスクカートリッジのセット

(@) キレートディスクカートリッジの設置
 キレートディスクカートリッジをパッケージから取り出し、マニホールドにセットします。ストップコックも取り付けます。

(A) 受器の設置
 バキュームコントローラーで減圧度をゆるめ、マニホールドの上部カバーアセンブリーを取り外し、受器をセットします。溶液出口のチューブが試験管内にきちんと入っているかどうかを確認します。

3) コンディショニング
(@) 通液洗浄
(@-1) マニホールドに15mL受器(廃液)をセットします。
(@-2) 2N硝酸を5mL注ぎます。
(@-3) 十分に2N硝酸をキレートに含浸させてから、吸引力を調整させつつ2N硝酸が滴々と受器に落ちるように、通液洗浄します。※2N硝酸を注ぐ時、リザーバー内壁を洗い流すように注ぎます。

(@-4) 減圧を解除して受器を取り出し、廃液を回収します。

 (A) 酸の洗い流し
 硝酸の残存は回収率悪化の原因となります。固相やリザーバー表面に残っている硝酸を精製水で洗い流します。リザーバーに精製水5mLを加えて、減圧を付与して精製水で硝酸を洗い流します。この精製水洗浄を2回行います。

(B) 固相の活性化
 0.1M酢酸アンモニウム 5mLを通液します。溶液を完全に引ききらないように、少量(固相から1〜2mm残る程度)が残っている状態で、次の「通水」操作を開始します。
4) 通 水
調製済み試料水を10mL/min程度の通液速度で通水します。試料溶液は引ききらないように注意します。サンプル容器への吸着が懸念される場合、サンプル容器に精製水を追加してサンプル容器内面を洗浄しディスクに流します。

5) 固相の洗浄(リンス)
精製水5mL→0.1?1M酢酸アンモニウム5mLの順で洗浄し、塩類やアルカリ土類金属を落とします。酢酸アンモニウムの量は、サンプルに含まれる夾雑成分によって、変わりますが、おおよそ下の量が目安です。

真水:0.5M CH3COONH4 5mL  海水:0.5M CH3COONH4 10mL

注) 固相の洗浄は精製水で行う事も可能です。しかし、ICP発光測定では、試料中カルシウム、マグネシウムが影響する場合があるため0.5M酢酸アンモニウムを使用します。この洗浄で、カルシウム、マグネシウムをキレートディスクカートリッジより洗い流す事ができます。


6) 溶 出

(@) 圧力器の調製(溶出準備)
 溶出操作は慎重に行う必要があります。特に、バキュームコントローラーの調整が必要です。溶出液が飛び跳ねないように、バキュームコントローラーの圧力を下げて操作します。

(A) 受器のセット
 コックを閉じて受器をセットします。受器は目盛りを確認(定容)したものを使用します。

ポイント
 溶出液を確実に回収する為、溶出液が溶出操作時に飛散しないように、受器(ディスポーザブル試験管)がアセンブリのテフロン管にきちんと入るように、高さを調節しておきます。溶出液は最初の数滴が高濃度溶出液です。操作並びにセッティングに特に注意を払う 必要があります。

(C) 溶 出(1回目)
 溶出溶媒の2N硝酸2mLを準備し、スポイトを用いてガラスファンネルを洗い流すように加えます。コックを瞬時だけ開いて、硝酸を固相に浸透させます。1分間程度、コックを閉じたままにして静置し、固相に硝酸を馴染ませます。

(D) 溶 出(2回目)
 1回目の溶出終了後、コックを半開きにした状態のままで2回目の溶出を行います。準備しておいた2回目の溶出液(2N硝酸)1mLを1回目の溶出と同様に操作します。受器には、合計3mLの溶出液が回収されます。

7) 定 容
マニホールドのコックを閉じて、溶出液の入った受器を取り出します。 受器の目盛りにあわせて精製水で3〜10mLにメスアップ(定容)します。

8) 測 定
測定を行います。


以上、キレート樹脂固相の上手な使い方でした。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。固相抽出のことを調べていてたどり着きました。固相抽出をこれから行おうと考えている初心者です。教えていただきたいのですが、マニホールドを使用する際の減圧方法ですが、真空ポンプとバキュームコントローラーでなければ難しいでしょうか。真空ポンプだけでは困難ですか?またアスピレーターやペリスタポンプは適応可能でしょうか。流速は1mL/minで行いたいと考えています。初歩的な質問で大変申し訳ないのですが、アドバイスいただけたら幸いです。よろしくお願いします。

2005/11/05 09:44
蒼さま

はじめまして。ご質問ありがとうございます。
経験上、減圧の微調整をポンプのみで行うのは、かなり難しいと思います。そのかわり、ポンプの種類は、ダイアフラムポンプ、アスピレーター、どちらも使用可能です。ペリスタリックポンプは、加圧送液を行うのに適しているものです。ですので、真空バキュームマニホールドには、適してないといえるでしょう。

真空微調整は、調整バルブで全体を制御し、コックにより個々のカートリッジの差を補正します。両方を組み合わせることがポイントです。

市販の真空バキュームマニホールドは、10万前後で購入可能だと思います。一つのユニットで10-12本処理可能な物がほとんどです。
本体に真空度を調整するバルブ付きのもの、コンディショニング+試料通液+洗浄の行程と、回収操作のときで、コック付き上蓋をスライドさせて、回収チューブと廃液と選択可能なタイプがお薦めです。コックは、ポリとテフロンとオプションで選択可能になっているはずです。

新規コメントでマニホールド写真を探してリンクを貼り付けておきます。

では。
あき
2005/11/05 13:21

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