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zoom RSS HPLC分析ノウハウ 注入するその前に その4

<<   作成日時 : 2005/02/14 23:14   >>

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今回で、注入前のノウハウ完結編です。

 (2項:「試料と移動相とのマッチング」

HPLC分析おいて、カラム移動相と分析試料とのマッチングは、重要です。基本は、移動相とまったく同じ組成のものに標準試薬を溶解し分析します。注入時のシステムノイズをできるだけ、小さくすることが可能であるし、保持時間のずれなどを抑制できるからです。特に固相抽出などで前処理を行う際には、目的物の溶出を有機溶媒100%で行うため、溶出液をそのまま直接注入するとピークがシャープにならず、再現性に影響を与えることがあります。このため、固相からの溶出液は、目的物の飛散に注意しつつ、窒素吹き付けなどで溶媒の濃縮をかけた後、移動相で再溶解を行うことが基本となります。

【A:目的化合物の溶媒への溶解度】

目的化合物の物性を確認するときに、どの溶媒への溶解度が高いかを確認し、最適移動相の決定材料にする事が多い。過去の分析事例が文献等で公開されている場合はそれを参考にすればよいが、新規の化合物や合成品を分析する場合は、新たに、移動相条件を作成しなければなりません。このようなときに、溶媒への溶解度を知っておくことは重要です。基本的に、目的物がある移動相によく溶けるものであれば早く溶出が行われ、逆に溶けにくい移動相の場合は遅れて溶出します。

逆相モードのとき、有機溶媒濃度が上がるほど、目的物の保持時間が早くなるのは、よく知られています。しかし、同じ有機溶媒とはいえ、メタノールとアセトニトリルでは保持の特性がまったく違いますので、注意します。これは、溶解度の差により引き起こされている現象です。アセトニトリル移動相で、うまく分離できない物質群があるときに、メタノール移動相に変更すると分離が可能となる事もあるので覚えておくと役に立つでしょう。

移動相の検討となると、アセトニトリルをベースに考えてしまいがちですが、有機溶媒の変更も視点に入れると条件検討の幅が広がるので便利です。目的物の構造や物性と相談して適切な移動相検討を行えるよう心がけましょう。ただし、メタノール移動相ではどうしてもカラム内圧が上がりやすいため、その場合は圧力の影響を受けにくいカラムの選定が大切です。


【B:極性化合物、疎水性化合物に応じた分離モードと溶解溶媒】

実際に物質群をカラムで分離するときには、吸着、分配、イオン交換作用など、さまざまな要素が絡み合っているため、各社HPLCカラムカタログの解説や、市販の基本技術資料等の記載を参考に、最適な分離モードの選択をするのが早道である。

大雑把に区分けしてしまうと、一般に疎水性の高い化合物は、ODSカラムのような逆相分配分離モードを利用することが多い。ほとんどの化合物は多少なりとも疎水性を有するため、多くの有機物をフォローできる分離モードといえます。イオン性を有する物質は親水性が増すため、純粋な逆相分配モードでの分離が困難な場合もあるが、イオン対試薬などを用いて対応できるケースもあります。汎用性も高く、応用事例も多いため初期検討で用いるには最適なモードです。

ODSカラムで分離できないようなイオン性化合物であれば、イオン交換モードを利用します。イオン性化合物ではないが、極端に極性の高い化合物は、活性炭充填カラム等を利用するなどの選定が必要です。目的物と選択的に相互作用を行える専用のカラムなどを利用すれば、煩雑な前処理操作から開放される場合もあります。検討してみてください。


【C:マトリックスマッチング法】

目的化合物の標準試薬を分析する場合と、実際の生体試料などから抽出した抽出液を分析する場合では、試料注入時のサンプルマトリックスが違ってきます。この微妙な違いが、ベースラインの違いを生じ、保持時間やピーク面積のズレを誘発します。特に、検量線法により定量を行う場合、定量結果のブレが生じる可能性があるため、注入時のサンプルマトリックスを同じにすること(マトリックスマッチング)を行って検量線を作成するわけです。すると、たいていの場合、おおむね改善するでしょう。標準品で確認した目的物と前処理したサンプルの保持時間に明らかなズレがあるときは、サンプルマトリクス中に標準をスパイクした試料を別途用意し、ピークの位置を確認しておきます。

【D:ブランクデータ】

実試料を分析する際には、前処理操作を含めたメソッドブランク試料を用意し、事前に分析します。この操作により、分析を阻害するような妨害ピークの確認をします。妨害物のピークと目的物のピークが重なる場合は、前処理操作の再検討を行う必要が生じます。HPLCカラムの分離モードを変更したりするなど、最適な条件設定を行わねばならない。妨害ピーク除去の検討は前処理手法と分析モードの特性を分析者が知ったうえで行うことが前提です。例えば、逆相ODSカラムで妨害ピークが出るときに、前処理でC18ミニカラムを用いても効果が薄い。これは、分離カラム、前処理共に同じモードでの処理であるてめです。

そのような場合、前処理工程でSAX(強アニオン交換)ミニカラムやPSA(1級2級アミン結合シリカゲル)ミニカラムのような、イオン交換系の前処理剤を導入することにより改善を試みます。また、カラムの変更や、移動相の工夫などにより妨害ピークと目的物の分離が可能となる場合もありますが、寿命を含めたカラム自体のコストや、分析、および検討時間などを考えると、なるべく前処理の段階でクリアしたい問題といえます。前述したが、適切な前処理方法を確立するには、目的物の物性はもとより、夾雑成分のおおまかな性質などを知るのは必要不可欠なわけです。


【E:クロマトブランク】

購入後に初めて使用するカラムの場合は、事前に慣らし分析を行い、不要なシステムピークなどが出ないようあらかじめ確認することを推奨します。通常、カラム出荷時は、メーカーサイドで独自に洗浄し、溶媒に置換されて入るケースがほとんどであるが、化合物の最適分離条件にて、カラム内からゴーストブランクが発生しないかどうかを確認します。オートサンプラーでの連続注入を行う場合では、サンプルの合間を見て定期的にブランク用のバイアルをセットし、システムに残留していないことを随時確認しておきます。特に複雑な切り替えバルブを用いるシステムは汚れが付着した場合、目的物が吸着しやすい状態になるため、マメなクリーニングを行いましょう。


【F:移動相中の有機溶媒濃度と注入試料の有機溶媒濃度の比率とピーク形状】


【G:.過去の文献データとの比較】

終わりに

HPLCに関しての注意点を駆け足で整理してみました。書き足りない個所はまだいくつもあるかもしれません。そのときは、コメントにて、ご質問ください。また、前処理、分析官することで、疑問点がありましたら、コメントをお寄せください。できる範囲で回答していきたいと考えています。

分析には「しっぱい」が付きものです。失敗という言葉の定義にもよりますが、分析においては最初から最後まで成功する方がまれではないでしょうか。(すこし大袈裟かもしれませんが。。。)実際のサンプルはもとより、標準品の測定だけでも安定した結果が得られないなどという事は、往々にして存在しうるこでしょう。最悪な場合は、測定の失敗をしているにもかかわらず、本人が失敗したことを気付かない「しっぱい」であるかもしれません。

また、単純なケアレスミス由来の「しっぱい」は、わずかな注意力と少しの知識によって未然に防ぐことができます。そのようなつまらない「しっぱい」は避け、より高度な「失敗」から得られる教訓を大切にすることが、分析を効率的に進め、独自のノウハウを得るための最大のノウハウではないでしょうか。



以上、HPLC注入前のノウハウでした。



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