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zoom RSS HPLC分析ノウハウ 注入するその前に その3

<<   作成日時 : 2005/02/14 22:55   >>

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その2に続いて、ノウハウその3です。

   (3)注入サンプル類の取り扱いに関して

    (3−T)ターゲット化合物の溶媒安定性

定量分析においては、参照とする標準試薬の分析は重要です。リファレンスとして、分析する化合物のピーク面積値が全てを作用するからです。したがって、標準試薬の取り扱い、保管方法、安定性などの事項は、きちんと把握し適切な対応を取るよう心がけます。前処理方法や、メインの分離条件にこだわるあまり、初期のストック標準液の溶媒中で分解していることに気付かずに分析を行ってしまうような事のないように。溶媒内での安定性のみならず、温度の影響、酸素の影響、光の影響などを事前に確認しておくことも重要です。基本的に低濃度のサンプルほど安定性に欠けるため、使用する直前に調製を行います。

   (3−U)微粒子除去(フィルトレーション)

実試料の分析を繰り返していくうちに、HPLC装置のシステム圧力が急激に上昇し、安全機能が働き、システム停止に遭遇することがあります。このような現象が頻繁に発生する場合は、装置に注入する直前に、サンプルの微粒子除去操作が適切に行われているかどうかを確認します。粒子の除去には、0.25-0.45μmの粒子系を備えた使い捨てフィルターカートリッジが便利です。あるいは、遠心分離を行い、上清のみを注入するという方法もありです。

   (3−V)脱塩(特にLC/MS対象)

 LC/MS/MSが普及し始め、最近では比較的ラフな前処理でも分析が容易となっているが、極微量になってくると、きちんと前処理を行った方が再現性も良く、きれいな結果が得られるのはいうまでもありません。装置を過信しないことです。基本を心がけておけば、検出感度がアップするだけでなく、検出器のメンテナンス回数も減らせるし、大きなメリットです。

LC/MSの場合、注入するサンプル中の塩濃度がイオン化抑制の主原因になります。塩濃度が高いと、測定結果の不安定性につながる傾向があります。逆相ポリマーなどのカートリッジ固相にターゲットを保持した後、精製水でサンプル由来の塩類を確実に洗い流す手法が一般的で、効果も高いです。


   (4)サンプル類の前処理、取り扱いに関して

    (4−T)目的物質の情報を集める

目的物の構造を確認し、官能基の特徴を把握しておきます。疎水性が強いのか、イオン性が強いのか、とても重要です。イオン性のものについては目的物のpKaが重要になるので、可能な限り調べておきます。既存の化合物名であれば、Merk Indexなどが、物性の検索には便利です。また、溶媒に対する溶解度も同時に調べておくといいです。

クロマトグラフィーによる分析を行う場合には、目的とする物質に関する過去のデータを検索しておくのは常套手段です。とりわけ、HPLCのクロマトデータは、前処理のメソッド開発においても非常に有効な参考資料になります。HPLCのデータなどは、PubMed等を利用し、参考文献を1,2件程度は、取り寄せておくことをおすすめします。

    (4−U)サンプル計量法の選択(重量法、容積法)

分析対象サンプルの物性に合わせて、計量法の選択をします。粘性の高いものは、重量法を選択するのが、もっとも適切です。粘性も低く、水溶液のように取り扱いが容易なものは、容積法が便利です。求められる精度も加味しながら、サンプリングの計量法を選択するのがよいでしょう。

    (4−V)サンプルの情報を集める

目的物の物性を知ることはもちろんです、前処理前マトリックスに関しての情報を持つ事も必須です。最終的に行う分析操作との相性を考えた効率的な前処理を考える事が大切です。

まず、試料が水系なのか、固形物、油脂状物質なのか把握します。最低でも、水に可溶(極性物質)なものか、ヘキサン系溶媒に可溶(油脂性物質)なのか、程度は把握しておきます。これにより次の前処理のステップが、おおまかに絞られます。

    (4−W)マトリックス成分と前処理

分析対象成分の性状を確認したら、分析対象物のマトリックス組成を把握します。水溶性なのか、油溶性なのか、固形状なのか、液体状なのか等をベースに、目的化合物の物性と折り合いをつけ、試料調製方法と前処理方法を決定します。サンプルマトリックスは、目的化合物の物性に次いで、非常に重要なファクターです。ターゲット化合物が同じであっても、サンプルマトリックスによって前処理のアプローチは、全く別のものになります。そこで、マトリックスによる簡単なガイドラインをまとめておきます。

    【水系マトリックス】

最も、遭遇しやすいケース。試料としては、血液、尿、河川水、排水、お茶、野菜や果物の汁など。多くは油分を含まない液体マトリックスです。

水で希釈してマトリクスの効果を下げ、逆相モードか、イオン交換相モード で処理することになります。


    【油系マトリックス】

脂溶性成分。石油やオイル、生体試料での臓器、肉食品製品、チョコレートなど。

基本的にヘキサンや、石油エーテルなどの低極性溶媒での抽出し、シリカゲルやフロリジルなど、順相クリーンアップを用いるのが一般的です。


いずれの手法においても、何かしらの溶液に抽出しなくてはならないので、固形試料の場合は溶媒で抽出する方法がメインになります。水溶性の塩として固形を形成している場合は水抽出で、逆に油溶性のサンプルはヘキサンなどによる抽出操作を行います。

簡単に溶解できないような物質の場合は、溶解溶媒を加えて超音波処理を行うか、ホモジネートをし強制的に抽出液を作成します。当然、目的物質を抽出できなくては意味が無いので、目的物質が溶けやすい溶媒を用いて抽出することが前提です。抽出した後は、珪藻土やろ紙などでろ過を行い抽出液として取り扱います。

続きは、次回以降で。


次回その4からは、移動相とのマッチングについて紹介します。

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