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zoom RSS 医薬品・生体試料中の各種微量金属分析と前処理法 事例その4

<<   作成日時 : 2005/02/11 14:14   >>

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1−7高感度検出技術
最後に高感度検出技術について触れたい。元素分析における高感度検出例としては、既存分析手法の改良法を用いるものと、既存の手法とは、まったく別の手法を応用する手法と分けられる。ここでは、既存分析法の改良方であるマトリックスモデファイヤーを利用するGG-AAS法(1)、 キレート試薬との錯体を形成させ蛍光検出器を利用したHPLC手法と、別法として応用例が期待されているストリッピングボルタンメトリーを紹介したい。

7項(1)マトリックスモデファイヤー(修飾剤)のGF-AASへの利用例

フレームレス原子吸光(GF-AAS)の高感度かについての応用テクニックとして、衛生試験法解説2000p38、表Wのなかで、マトリックスモデファイアーが紹介されている。この手法は、既存の検出で感度が得られにくい元素や、感度がえれれにくいマトリックス中の元素を高感度に検出したいときに用いられる。一般的に用いられる修飾剤としては、MgやPdがある。これらの修飾剤を原子化を行う炭素炉(グラファイトキュベットとも呼ぶ)のなかに、分析対象試料と一緒に混合し、従来の灰化温度、原子化温度より高い温度で、灰化および原子化を行う。灰化温度を上げることにより修飾剤と目的元素の間で合金を作成しやすくなり、原子化温度をこれをターゲットとして、高温に設定することが可能になる。原子化温度を高く設定できることにより共存元素の影響を受けずに有利に原子化をおこなすことが可能になる。

マトリックスモデファイヤー を検討した例は、現在までに多数報告されている。Shan Xiao-Quanらは、修飾剤として、Ni、Pdを検討して、生体試料中のAsを高感度に検出する手法について報告している。Pd修飾剤により、生体試料(文献では認証標準物質NIES CRMの SRM1645, SRM 1571, SRM No.1等を検討)中のAsの高感度検出に成功している。(文献18)

7項(2)HPLCを用いたAl分析応用例

アルツハイマー病の原因の一つとして医薬品製剤中の分析ニーズが高い元素にアルミニウムがある。輸液中、注射液中のアルミニウムの分析は、非常に難しいとされている。これらの試料中には、高濃度の栄養分の成分としてグルコースなどが混合されているためである。通常このような医薬品試料中のアルミニウムを分析するには、完全分解してICP発光分析系、あるいは、フレームレス原子吸光に頼るしか手法がなかった。しかしながら、多検体を迅速に高感度に分析したいという現場サイドの要望から、最近では、HPLCの蛍光検出を検出手法として用いる新たな改良方が検討されている。

アルミニウムなどの金属元素は、キレート試薬と反応して、錯体を形成することは、昔から、知られている。この手法は、この錯体形成能を利用して、アルミニウムをHPLCの逆相カラムで分離し、錯体に励起波長をあて、発生した蛍光を高感度に検出する手法である。アルミニウム錯体を形成するものとしては、8-キノリノールキレート試薬を用いた例が報告されている。(文献19,20)

本試薬とアルミニウムを錯体として分離し、蛍光検出することにより、高マトリックス中のアルミニウムを極めて低コストで、高感度に検出することが可能である。図9に、アルミニウムの分析が極めて難しいとされている微量元素注射剤に本手法を適用した例を示した。このように、既存の検出手法においても、工夫を施すことによって、十分に高感度検出を行うことが可能である。


7項(3)ストリッピングボルタンメトリー(ASV)の導入事例

従来の元素分析手法にとらわれずに電気化学的に金属イオンを検出する手法の一つにストリッピングボルタンメトリーがある。この手法の中で、特に高感度検出の応用がされているものにアノーディックストリッピングボルタンメトリー(ASV)がある。

ASVを利用すると、溶液中に存在する金属イオンだけを選択的に高感度検出することが可能である。検出感度は、ppbからpptレベルまでが可能であり、現在最も高感度検出が可能だといわれているICP-MSに匹敵する。しかも、装置自体のコストは、ICP-MSの10分の1程度であることから、海外では、広く応用研究されている。

とりわけASVでは、価数別金属イオンの検出が可能である。Jack Rらは、6価クロムと5価バナジウムの検出に応用した (文献21)


おわりに

以上、既存分析手法にとらわれない手法について、ケース別に紹介した。このような技術が、日々の無機分析に応用する際の参考となれば幸いである。


参考文献は、事項で。

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