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zoom RSS 医薬品・生体試料中の各種微量金属分析と前処理法 事例その3

<<   作成日時 : 2005/02/11 14:12   >>

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1節−5項 高度な分離技術について −分子認識ゲル(MRT)の金属イオン分離応用例−
 前項で固相抽出による分離手法を紹介したが、最近では、キレート樹脂では、分離が困難なケースに適用できる新しい、分離テクニックが研究されている。これらは、分子認識技術(Melecular Recognition Technology = MRTと略する)と呼ばれ、これを利用した分離剤を分子認識ゲルと呼ぶ。分子認識ゲルを利用した分離技術については、文献14-16に原理と応用例について紹介されている。ここでは、その中で詳細されているいくつかの導入事例を紹介する。
分子認識ゲルの補足原理としては、クラウンエーテル構造をした環状の特殊官能基をシリカやメタクリレート、ポリスチレンなどの固定相に化学結合させたもの、あるいは、含浸させたものが市販されるようになった。

化学結合されたMRTゲルの環状構造の中にイオン分子が選択的に取り込まれると、複雑な共存マトリックスかにおいても選択的に目的元素を分離濃縮することができる。この技術を利用すると、複雑なマトリックスを含有する錠剤中に混入する不純物である重金属を選択的に取り出すことが可能になる。従来錠剤中には、ミネラルイオン、ビタミン類、糖衣など、錠剤を形成するために必要な材料や薬物として、安定させるための材料が混入しており、これらに含有する微元素を効率的に、かつ選択的に分離精製するのは難しいとされていた。しかし、MRTを利用すれば、これらは容易に解決する。

また一部の製剤は、水で容易に溶解させることが難しく、有機溶媒でしか崩壊させることができないものも存在する。このような場合、イオン交換反応に基づく従来の固相抽出法は適用できなかった。しかし、オイルマトリックス中のFeイオンやNiイオンをヘキサンを使って希釈し粘度を下げてから、MRTにより分離精製することが可能になった。これの意味するところは非常に大きく、脂質マトリックスなどの生体試料から、効率的に目的元素を抽出する際に大いに役立つと推測される。

一方、無機分析に使用されるクロマトグラフィーテクニックにイオンクロマトグラフィー(IC)がある。温泉水、生理食塩水、注射液、輸血溶液中に存在するアニオン成分を測定するとき、これらのサンプル中に混在する塩素イオンがIC測定を妨害することがある。このような場合、目的成分と塩素イオンをを分離できる専用カラムを検索したり、特殊なAgカラムを作成して、AgCl沈殿として、塩素イオンを取り除くしか方法がなかった。このアプリケーションにMRTを利用すると、塩素イオンを選択的に取り除くことができ、測定対象となる硝酸イオンや硫酸イオンをロスしないといったまったく新しい前処理を利用することができる。実際の適用例を表3にまとめた。

このように、MRTは今後医薬品分析において活躍の場を広げていくと推測される。また、製造の現場で利用されるPdなどの触媒の回収などにも適用が期待されている。

1節−6項 複合技術(Hyphenated technique)について

既存のICP、ICP-MS分析では、試料中に含まれるそれぞれの元素の総量を計測することができるが、それぞれの存在形態を知ることはできない。このような場合、形態別に分離が可能なHPLCやICのクロマトグラフィーの技術を利用して、ICPやICP-MS検出を行う、複合技術が研究されている。HPLCとICP-MSを接続するときHPLCは移動相に液体を利用した分離手法であるため、容易にICP系に接続することが可能である。汎用されるICPネブライザーの流速は、およそ1mL/minであるので、流速的にも問題ない。ただし、移動相に有機溶媒を使用する際は、注意が必要で、ICP側で、有機溶媒を測定するときのモードへの切り替えを行うか、セミミクロ、ミクロカラムを利用したHPLCをりようして、分離をおこない、追加液ポンプをカラム出口に接続し、低デットボリュームのミキシングを経てネブライザーに導入する工夫が必要である。最近では、樹脂製ネブライザーや、HPLC接続キットなどが市販されているので、より手軽に実験が行えるようになった。

このような技術は、とりわけ、生体内で様々な有機形態を有するヒ素化合物の形態別分析(スペシエーション分析とも呼ぶ)に利用される。生体試料マトリックス(クロマトは血清試料)に添加した有機ヒ素成分を含む8成分について逆相カラムを利用して分離した例が報告されている。ヒ素化合物を逆相カラムで分離するには、イオン対モードを用いる。図の分析例では、表4に示した分離条件を利用した。また、貝瀬らは、逆相カラムを利用して、毒ガス成分であるジフェニルアルシン酸と無機ヒ素を迅速分離し、ICP-MSを用いて高感度検出を行うことに成功している。(文献17)

続きは事項で。


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