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zoom RSS 医薬品・生体試料中の各種微量金属分析と前処理法 事例その2

<<   作成日時 : 2005/02/11 14:11   >>

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1節−3項 密閉型分解容器について
生体試料の前処理において、クロスコンタミネーションを防止することが重要であることは、一項のAで述べたが、ここでは、密閉型分解容器について述べたい。 密閉型容器を利用する最大の利点は、分解中に実験室内の雰囲気に一切接触することがないため、外部からのコンタミ、検体間のクロスコンタミを完全に防止できるところにある。顕著な例として、近年導入事例が増えてきているICP-MSによる高感度分析では、pptレベルの測定を行うことも珍しくなく、前処理段階でのブランクレベルが問題となる。このような場合、マイクロ波密閉分解容器は、多用されており、既存の質式分解手法に比べて有利な点が広く受け入れられている。

密閉型分解容器には、内容器にテフロン製の分解容器を採用し、外側に内圧を封じ込める外容器(ジャケット)の組み合わせで使用するものがある。このうち、ジャケットが、ステンレススチール製のものとポリプロピレン(PP)製の物とに分けられる。ステンレスジャケットは、密閉後の容器を加熱オーブンに一定時間おくことにより、高圧条件下で内部試料を分解する。(文献5、6)

一方、PP製ジャケットは一般にマイクロ波を照射して、内部から加熱処理を施し目的試料を分解する。とりわけ、マイクロ波分解容器においては、近年では、自動化技術が進みPCによるフル制御が可能になった。これにより、繰り返し再現性が向上し、分析者の熟練度に依存しない前処理が可能になってきている。またPC制御により、通常目視することができないマイクロ波分解工程をリアルタイムでモニタリング、および記録をとることが可能になり、信頼性のある前処理技術の向上に貢献している。

これらの密閉分解容器の導入事例については、様々な検討がなされ、レビューとしてまとめられている。(文献7)とりわけテフロン容器を利用すると、従来ガラス容器からのコンタミネーションが懸念されているホウ素やナトリウムの分析に効力を発揮する。Arny A.らはマイクロ波分解容器を利用して血漿サンプル中のホウ素の分析例を報告している。(文献8)


1節−4項 固相抽出技術について

一般に従来の既存分析法の無機分析における前処理は、酸分解による、有機物分解、溶液化がメインである。この分解液中の目的元素の濃度が検出器の検出感度と比較して十分でない場合は、濃縮工程が必要になる。また、酸分解に使用した過剰量の酸の濃度がICP分析、AAS分析において、測定阻害となるケースがある。このような場合、濃縮目的と過剰の酸を除去する目的で、ホットプレートなどによる加熱濃縮手法が従来から用いられてきた。分解溶液のボリュームが小さくなればその分、目的元素の濃度も確保できる。また、濃縮時の過熱温度を除去したい酸の沸点より若干高めに設定すれば、濃縮と同時に過剰な酸を取り除くことが可能になる。しかしながら、この手法を利用する際に2つ問題が浮上する。1つめは、目的元素の濃度と一緒にICP測定における波長干渉、ICP-MS測定におけるアルゴンガスとの混合による質量数の妨害を引き起こす元素も一緒に濃縮されてします点である。2つめは、分解液中に存在する塩の濃度も一緒に濃縮してしまうため、ICPのネブライザー噴霧の際、液体の粘度が上昇し噴霧効率を低下させたり、塩が析出してネブライザーが詰まってしまう現象を誘発していまう。このような現象を回避することが近年の課題であった。

最近では、これら既存分析方でボトルネックとなっていた諸問題を解決するのに、固相抽出方が検討されるようになって来た。固相抽出法は、ディスポーザブル容器の中にクロマトグラフィーで利用されるような分離剤を固定相として充填し、液体試料と接触させ、試料液体−充填剤固体 間での固-液抽出を適用したものである。この手法は、1970年ごろから、液体クロマトグラフィーの前処理法として検討され始め、現在では、広く一般に生体試料中、製剤中の医薬品化合物のHPCL分析の前処理方法として使用されている。この、固相抽出充填剤には、有機物分析では、オクタデシルシリカ(C18)やイオン交換樹脂が利用されてきた。このうち、イオン交換樹脂を金属イオンのトラップ剤として利用する技術が検討されるようになった。しかしながら、金属イオンと同時に溶存している他の有機イオン、無機イオンが高濃度存在するとき、これらの共存物質の妨害を受けやすく、アプリケーションが限定されるのと、キャパシティーが少なく、固相抽出するときの反応スピードが遅いために、高速抽出、高効率の濃縮には不向きであるとされてきた。

現在、この固相抽出充填剤の欠点を補うべく、キレート樹脂を固定相として利用する製品が市販されるようになった。このキレート樹脂には、イミノ二酢酸基を利用したもの(文献9、10)と、このイミノ二酢酸基にさらに修飾を重ねたポリアミノポリカルボン酸型キレート樹脂を利用したものが市販されている。(文献11)

このようなキレート樹脂を固定相とすることで、従来ボトルネックとなっていた、Na、Kイオンなどの無機塩を効率的に除去することが可能になった。また2価以上の遷移元素などに特異的な吸着を示すため、同時に存在する有機物イオンなどの影響を受けずに選択的に重金属イオンを分離濃縮することが可能である。この手法を用いれば、図3のフローに示すように、血液や尿などの生体試料中から、直接重金属イオンを分離することが可能になる。さらには、マイクロ波分解装置を利用して分解した様々な分解溶液を緩衝液を用いて、わずかに希釈中和処理を施すだけで、固相抽出処理を行え、脱塩濃縮操作が可能になる。これらの確認には、NIESの認証標準試料CRM No.18を用いて手法の妥当性が確認されている。詳細は、販売会社が発行している技術資料などで確認することができる。(文献12)

ICP分析以外の固相抽出の応用例としては、固相抽出メンブレンと蛍光X線を組み合わせた迅速高感度分析の応用例がある。(文献13) 従来蛍光X線法は、非破壊分析法として、広く普及しているが、検出感度がICPやAASほど得られないという弱点があった。固相抽出メンブレンを使用すると、例えば、液体試料中の金属イオンをキレート樹脂メンブレンを使って、高感度濃縮検出を行ったり、ディスクに一次保存をして、後日他の手法により再解析を行ったりすることが可能になる。また、イオン交換ディスクを陰イオン用、陽イオン用と重ねて使用すれば、Crの3価、6価イオンを分別捕集して、蛍光X線で形態別スクリーングを行うことができる。さらには、有機金属化合物をポリスチレンなどの逆相系固相抽出ディスクに補足し、無機イオン形態はイオン交換ディスクに捕集するという、無機・有機の形態別スクリーニングを行うことが可能である。これらは、ヒ素の形態別分析や血中農薬分析などの応用が期待されている。


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