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zoom RSS 医薬品・生体試料中の各種微量金属分析と前処理法 事例その1

<<   作成日時 : 2005/02/11 14:09   >>

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医薬品・生体試料中の金属分析 〜規定分析法で困難な場合に有効な技術について〜 まとめました。

はじめに
医薬品、生体試料に含まれる金属成分を分析する手法について調査したいとき、公定法と言われる参考図書として、「日本薬局法」、「衛生試験法」を参照する機会が多いであろう。これらを参照することにより、水溶液、固形物などの試料形態に応じて適切な前処理方法を検索することが可能である。同時に、これらの解説書で説明されている分析手法としては、ICP発光分析(ICP-AES)、ICP質量分析(ICP-MS)、フレーム原子吸光(AAS)、フレームレス原子吸光(GF-AAS)、吸光光度法などが紹介されている。(文献1−4)

これらの公定法で示唆されている検出手法、前処理手法を用いて、種々の測定を行うことは十分に可能である。しかしながら、日々進歩する医薬品製品、食品加工品、これらに利用される製造原料に適用していく場合、従来の手法では、効率が悪かったり、一部の元素の回収率が悪かったりする経験を持たれるケースが想定される。一方では、生体における微量元素の代謝、挙動、を様々な観点から研究を進める場合、従来からの一元素の全量濃度を算出するだけでなく、イオンの価数別存在形態や、有機物に取り込まれた形の存在形態を測定する必要性が高くなっている。このような形態分析(スペシエーション)を行うにおいては規定分析法では十分な結果が得られない状況である。
本説では、このような背景を踏まえて、過去に検討された事例、あるいは、今後期待られる技術を例に上げながら、規定分析法以外の手法を利用して元素分析を行う際のガイダンスを述べたい。本節を読んでさらに、詳細を調査したい場合には、節末の参考図書、および参考文献を参照していただきたい。


第一節、一項 医薬品、生体試料の前処理のポイント

医薬品、生体試料の前処理において、重要なポイントを整理してみる。原料分析は別として、試料採取量に限界があるケースが多い。また、注目したい重金属類は、濃度が低いケースが多い。特に生体試料において、重要視したい微量元素を調べたい場合は、サンプリング量が限定された上に、存在量も微量であるから、前処理には、細心の注意が必要である。まとめると以下のポイントに整理できるだろう。

A)ローコンタミネーションの分解方法
B)微量サンプルの取り扱いでも十分な正確さ精度
C)高マトリックス成分の影響を取り除く

Aを満たすためには、従来の乾式分解、湿式分解で用いられてきたような蒸発皿における直接加熱による灰化方法、ホットプレートとビーカーによる灰化方法では、実験室中の雰囲気取り込み、ブランクが上昇したり、多検体処理中にサンプル間のクロスコンタミネーションを引き起こしやすく、適切な方法とはいえない。これらの条件を満たすには、密閉型の分解容器の使用が必要である。

Bを満たすためには、ある程度分解方法をプログラム化して実験者や、実験室が変わっても同じ精度で分析される必要性が出てくる。従来の目視による湿式分解法に代わり、プログラミング機能を備えた加熱ブロックシステムや密閉容器加熱システムが必要になる。

Cを満たすためには、複雑な有機成分マトリックスから、選択的に目的元素を抽出する技術、濃度比率が異なる分解溶液から、目的とする低濃度元素を選択的に抽出する技術が必要になる。この選択的にクリーンアップして、かつ濃縮を掛けるのに最適なツールとして、近年では、固相抽出方が応用され始めている。あるいは、既存の高分離技術として実績のある、クロマトグラフィー(特にHPLC)と高感度検出手段であるICP-MSを組み合わせるような複合分析技術(ハイフネーションテクニック)が検討されている。

以降に、これらA、B、C、を満たすために利用されている手法をケース別に紹介する。


1節−2項 加熱分解技術について
近年では、プログラム可能なヒートブロックや、ケルダール分解システムが市販されるようになってきた。このようなシステムを利用することによって、従来マニュアル法で行ってきた衛生試験法を自動化することが可能である。衛生試験法を初めとする液体サンプルの前処理方法では、試料中の浮遊物を完全に溶解したり、有機物を完全分解してから、AASやICP分析に掛けるよう指示されている。従来これらは、ホットプレートとビーカーを用いて、実験者の主観により操作が行われていた。

酸分解をプログラム機能付ヒートブロックで行えば、分解操作の自動化、分解処理のログ管理、再現性を確保することができる。また、専用のクリーンフードと併用すれば、実験室雰囲気由来のクロスコンタミネーションを防止することができる。通常、200度未満の低温湿式灰化にはヒートブロックタイプが利用され、それを超えるような高温分解には、ケルダールシステムを利用する。ケルダールシステムは、有機物を多量に含む脂質の多い、食品、臓器、油分の分析で有効である。また、揮発性元素の回収率をあげたい場合、近年の自動システムでは、酸の蒸気を還流する冷却管機能が充実しており、Hgを含む低回収率元素の分解にも適用可能である。

臓器などの有機物分解では、40-60度付近の低温での予備灰化ステップと100℃前後の中高温での湿式灰化ステップが重要である。従来では、マニュアルでのホットプレート操作が煩雑だったため、分解操作を行う前日に、一定量に秤量した生体試料に濃硝酸を添加し、一昼夜室温で放置することで予備灰化を行っていた。次の日に、ホットプレートにおいて、時計皿を乗せたビーカーにより湿式灰化を行っていた。しかしこれらは、昇温プログラム機能付のヒートブロックを使用することによって、全自動化が可能である。また、従来ガラス容器に依存していた分解容器も、ディスポーザブル専用のチューブに置き換わり、容器洗浄不十分による前分解試料からの汚染を容易に低コストに防ぐことが可能になる。

メインの灰化を95℃付近で正確に実施することにより、分解時の硝酸の不必要な揮発ロスを防ぎ、必要最低限の酸の使用で、十分に有機物分解が可能である。また、95℃という水の沸点以下の温度に調整することにより、As、Se、Crなど、従来ビーカーと時計皿では、細心の注意を要した前処理を手軽に実施することが可能である。


続きは、事項で。

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