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<<   作成日時 : 2005/01/25 23:54   >>

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排水処理技術に係わる無機分析前処理技術についてまとめました。
【はじめに】
 循環型社会形成に向け、各省庁が中心となり様々な関連法規の制定、改訂が行われ、関係機関においては、時間のない中での対応が迅速に進められている。近年までの主な動きとして、「循環型社会形成推進基本法(リサイクル基本法:2000年)」、「土壌汚染対策法(2002年)」、「自動車リサイクル法(2002年公布、2004年施行)」などがある。とりわけ、自動車リサイクル法は記憶に新しく、ニュース等一般社会における認知度も高い。(参考文献1−3)

 「リサイクル、廃棄物処理、管理型埋め立て地、土壌汚染」これらのキーワードと密接に関わる法規の施行に伴い、従来廃棄処分されていた廃車は、これまでとは違って丁寧な解体作業がなされるようになった。鉄鋼などの原材料が需要に追いつかない状況の中で、鉄くず、スクラップ等が希少価値をもつからだ。利潤追求が行われる仕組み作りが確立されると、いままでボランティアに頼っていたゴミ問題、産業廃棄物処理問題が、実行力のある企業、団体によって解決されるようになるであろう。

 管理型埋め立て地や土壌汚染問題がクローズアップされると、廃棄物処理場からの流出排水、土壌からの地下浸透水の一般水域への混入のリスクについても関心が高まる。つまり、循環型社会形成と排水問題は相互に議論される場が広がっていった。このような流れの中、2003年5月、水質汚濁防止法に基づく排水基準のうち、「ほう素、ふっ素、アンモニア及び硝酸・亜硝酸化合物に係る暫定排水基準の見直」に対する意見募集がなされた。(参考文献4)水質汚濁の観点から、汚水浄化処理やリサイクル関連業務に伴う産業排水等を監視し、環境汚染から我々の健康被害を守るために、一般水域に流入する排水基準の見直しを図った動きである。見直しの対象となったものは、「ホウ素、フッ素、アンモニア、硝酸、亜硝酸化合物」である。

 このヒヤリングは、水質汚濁防止法に基づく排水基準について、一部の工場・事業場で暫定排水基準が設定されていたため、実際の基準値見直しに伴い、広く場ブリックコメントを求めたものである。水質汚濁防止法の対象になる事業者は、メッキ関連メーカー、温泉業者、廃棄物処理業者などと幅広く、規模も様々であり様々な意見が寄せられた。意見の概要及びそれに対する環境省のコメントについては一般公開されている。(参考文献5)また、最終的には、暫定基準値をを2007年まで延期する業種と、2004年6月30日より見直し基準値を適用される業種とに分かれた。

 一方、新基準を含めた水質汚濁法対策の一環として、事業者から排出される有機物排水を効率よく処理するための働き「有機性排水処理技術ワーキンググループ会合」が実施されている。(参考文献7−9)2007年度の完全施行を目指し、排水処理技術の検討がなされている。ワーキンググループにおける議論の中心は、自動処理技術であり、これら技術の正否の判断を迅速に行うために、排水の分析技術の効率化が求められている。

 排水分析においては、官報が定めるところの各種試験法が採用されている。しかしながら、浄化技術を迅速に評価したり、フィールドにおける地下浸透水、流入水、事業排水、これら排水と混じり合う一般水域の試験対象が今後も増加する傾向にあり、もっと効率的な試料処理方法や検出技術が期待されいる。
 これらの背景をふまえて、本レポートでは、今後期待の高まる廃水処理技術貢献する関連機器に関してまとめた。今回は、新基準値の制定で関心の高い「ホウ素を含めた無機元素」分析に貢献する前処理技術を中心に述べたい。


【新規排水基準と分析法】

 新規排水基準値について表1.に示した。ホウ素を含めた排水基準対象成分を分析する時の手法について、公開されている内容を以下にまとめる。

 中央環境審議会がまとめた、「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に関わる項目追加等について」の答申(文献10)のなかで、検定方法について以下のように述べられている。

@排出水及び特定地下浸透水の濃度が的確に定量できる方法であること
A広く一般に利用できるような方法であり、原則として危険な操作等を含まないこと
B既に定められている水質環境基準の測定方法等を考慮すること

上記に留意するとともに、各検定方法ついては以下のようにある。

(1)硝酸性窒素、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素

硝酸性窒素、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素の検定方法は、硝酸性窒素にあっては日本工業規格K0102(以下「規格」という。)43.2.1 43.2.3又は43.2.5 に定める方法、亜硝酸性窒素にあっては規格43.1.1又は43.1.2 に定める方法、アンモニア性窒素にあっては規格42.1及び42.2 若しくは42.1及び42.3又は42.5 に定める方法とする。

(2)ふっ素
ふっ素の検定方法は、規格若しくは34.1 34.2 又は蒸留操作を行った後、昭和46 年環境庁告示第59 号(水質汚濁に係る環境基準について)(以下、「環境基準告示」という。)付表6に掲げる方法とする。

(3)ほう素
ほう素の検定方法は、規格47.1、47.2 若しくは47.3 又は環境基準告示付表7に掲げる方法とする。

ここでは、ホウ素を中心とした無機成分の試料採取、前処理方法について、「新しい排水基準とその分析法」(参考文献11)を参考にポイントを整理してみたい。


【試料採取】

 試料採取方法については、JIS K0094の「工業用水・工場用水の試料採取方法」などに詳しく規定されている。試料採取は、原則として工場及び事業所の排水口が原則である。排水口での採取が困難な場合は、同じ水質の排水が採取できる排水路や配水管路、事業施設の流出口などを採取地点とする。また、施設内は、試験目的に応じて、配管・設備への流入流出ポイントを採取する。

 工場用水に用いられる自然水域での試料採取は、取水地点とし、深度については、蛇口口と同じとする。河川水では、あらかじめ河川水の水質の変動を事前に予知できる地点をあらかじめ選定しておく。また長期間にわたって採取するときには、なるべく同一時間帯採取するように踏査計画を立てるのが望ましい。

 試料容器は、密栓できるものを使用する。ポリエチレン製、ないしは、無職の硬質ガラス製が望ましい。ただし、栓には、ゴム、コルクを使用しない。

 試料採取量は、試験項目と目的成分の濃度、保存処理により異なる。最大使用量として1L程度を限度とする。採取後は、直ちに試験を行うことが望ましいが、やむを得ず保管の必要がある場合「JIS K0094」に従い保存処理を施す。通常の重金属類の場合、硝酸を加えて、pHを約1にして保存する。砒素が対象の場合、有機物や塩類のマトリックスが少なければ、塩酸(砒素分析用)を加えてpHを焼く1にして保存する。Cr(VI)の場合は、そのままの状態で、0〜10℃で暗所に保存する。金属の溶存状態を試験する検体は、濾過した検体に硝酸を加えて、pHを約1にして保管する。

【前処理法】

 無機成分の試料前処理には、塩酸(JIS K8180)、硝酸(JIS K8541)、過塩素酸(JIS K 8223)、硫酸(1+1:JIS K8951に規定される硫酸1容)をそれぞれ用いる。試料の性状により分解方法を選択し、あらかじめ添加回収試験を行い、良好なものを採用する。なお、前処理方法には、次のものがある。

@塩酸、あるいは、硝酸酸性で煮沸処理
 有機物やけん濁物質きわめてが少ない試料に対して有効な手法である。試料100mlに対して塩酸、硝酸を5mlの割合で添加し10分程度煮沸する。法令後一定量にする。

A塩酸、あるいは、硝酸による分解処理
 有機物が少なく、けん濁物質として水酸化物、酸化物、硫化鉄、リン酸塩などを含む試料に有効。試料100mlに対して塩酸、硝酸を5mlの割合で添加後加熱する。液量が100→15になるまで濃縮し、不要物は濾過して、蒸留水でよく洗浄し、ろ液をあわせて一定量にする。

B硝酸と過塩素酸による分解処理
 酸化されにくい有機物を含む試料に適用する。試料を適量とり、硝酸5〜10mlを加え、ホットプレート上で加熱蒸発させる。10ml程度になったら、放冷し、硝酸5mlを加え、さらに過塩素酸(60%)10mlを少量ずつ加える。過塩素酸の白煙が生ずるまで温度を上げ、時計皿を使って還流しながら加熱を続け、最終的に有機物がなくなるまで、酸添加と加熱を繰り返す。放冷後、蒸留水を加える。不溶解物が発生した場合は、ろ過して残渣をよく洗浄する。洗液をろ液とあわせて分試料とする。

C硝酸と硫酸による分解処理
 この手法は、多種の元素に適用できるが、Pb、Ca、Baなどが沈殿を生成するので注意する。また、硫酸を使用しているため、物理干渉、分光干渉の対象となるAAS、ICP-OES、ICP-MSを前提とした処理には、向いていない。


【排水分析法の今後】

 以上、排水分析に関わる無機分析のための前処理に起因するポイントを述べてきた。排水処理技術は日々進歩しており、より自動化が検討されている。このことは、有機性排水処理技術ワーキンググループ会合(http://www.env.go.jp/air/tech/model/)の議事録が公開されているので、一般の分析担当者が自動化処理技術の動向を確認することができるので、ぜひ参照されたい。
 分析に関する、前処理、測定技術に関しても今後は、排水処理技術と連動する形で、よりいっそうの自動化システムの構築が期待されていくであろう。


参考文献


1)循環型社会形成推進基本法(リサイクル基本法)
http://www.env.go.jp/recycle/circul/kihonho/law.pdf

2)自動車リサイクル法
http://www.meti.go.jp/policy/automobile/
http://www.meti.go.jp/policy/automobile/recycle/Rejigyousyamuke.pdf

3)土壌汚染対策法
http://www.env.go.jp/water/dojo/honbun.pdf

4)ほう素、ふっ素、アンモニア及び硝酸・亜硝酸化合物に係る暫定排水基準の見直しについての意見募集要項
http://www.env.go.jp/press/file_view.php3?serial=5431&hou_id=4826


5)暫定基準値見直しに対するバブリックコメント
http://www.env.go.jp/info/iken/result/h160428a.pdf

6)水質汚濁防止法の排水基準を定める省令の改正(暫定排水基準の見直し)について
http://www.pref.toyama.jp/sections/1706/kakari3/kaisei/kaisei040701.htm

7)平成16年度 有機性排水処理技術ワーキンググループ会合
http://www.env.go.jp/air/tech/model/

8)有機性排水処理技術ワーキンググループ会合(第1回)
http://www.env.go.jp/air/tech/model/work16/work16_01.html

9)有機性排水処理技術ワーキンググループ会合(第2回)
http://www.env.go.jp/air/tech/model/work16_02/work16_02.html


10) 水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に関わる項目追加等について」の答申
http://www.env.go.jp/press/file_view.php3?serial=957&hou_id=1438

11) 「新しい排水基準とその分析法」環境化学研究会編集発行



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